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外壁の後悔ポイントの一つ、サイディングのつなぎ目問題。これを減らすためにいろいろな方法を検討。今回はその方法をご紹介したいと思います。
窯業系サイディングのメリットとデメリット
窯業系(ようぎょうけい)サイディングは、日本で最も採用されている外壁材。
メリットは何と言っても安価でバリエーションが豊富なところ。近年は技術の進歩で質感の表現がさらにアップし、クオリティがかなり上がってきています。
一方、デメリットはつなぎ目が目立ってしまい安っぽく見えてしまうところ。初期費用の割にメンテナンス費用が高額な点も挙げられます。
そのメンテナンスのひとつがサイディングのつなぎ目に充填するコーキング材の打ち直し。コーキング材は安価なものは劣化が早く、ひび割れが発生すると雨水が侵入し家全体に悪い影響を与えることも。
つまり、サイディングのつなぎ目、正確にはサイディングのコーキングは見た目的にも、家の健康寿命にとってもできる限り少ないほうが良いわけです。
サイディング以外の選択肢
サイディングのつなぎ目(コーキング)をなくすために最初に考える事は、窯業系サイディング以外の選択肢。いろいろな工法があます。
●つなぎ目が目立たない窯業系サイディング工法
●ガルバリウム
●木材サイディング
●モルタル(吹付け、リシン、スタッコなど)
●タイル
●ALC
●塗り壁(漆喰、ジョリパッドなど)
その他(丸太、レンガ)
窯業系サイディングは初期費用と手軽さの魅力、まずは、1階は窯業系サイディング2階だけガルバリウムを採用することに。
窯業系サイディングのつなぎ目を目立たなくする方法
その1.サイディングの長さに合わせて設計する
1階は窯業系サイディングに、こうなったらサイディングのつなぎ目の減らし方を調べていこう。
こてしらべに窯業系サイディングの形状を調査。すると、一枚一枚はかなり細長い板状の商品が多い。長辺が3m、短辺が45cmといった感じ。この板に対して図のようにデザインが横向きに施されています。
このサイディングを壁に張り付けるとどうなるか?
つなぎ目が縦方向に45cmごと、横方向に3mごとに発生することになります(図参照)
この時、赤枠の横方向のつなぎ目はコーキング材が必要なので、これが最も目立つつなぎ目となります。 極端に言うと、壁を3mごとに凸凹させれば目立ったつなぎ目は発生しないということです。
ちなみに、採用したガルバリウムは6.0mの長尺仕様があり、つなぎ目をより目立ちにくくすることが可能。
長尺仕様がある外壁材を採用するのも一つの選択肢といえます。
その2.木目調のサイディングを縦張りする
その後、「サイディングは縦に張るとコーキングが減る」。
どういうことかというと、図のように縦方向のつなぎ目は水切りを使うことでコーキングを使わずにすむそう。
ただし、コーナーだけはコーナー用のサイディングを使う必要があるので、ここだけはコーキングが発生します。北欧風ハウスにするならレンガ調や木目調が候補になってきますが、ここで縦張りに向いていないレンガ調は脱落。
結果的に、木目調のような直線的なデザインはつなぎ目がより目立ちにくくなる効果も期待できます。
検証!
そして、完成した外壁。
2階はガルバリウムなのでコーキングは無し。家全体としても1階のコーナー部分だけにコーキングを抑えることに成功(窓のコーキングはのぞく)。
近くで見るとサイディングのつなぎ目が45cmごとにあることが確認できますが、木目調の効果もあり目立ちにくくなっている印象です。
唯一コーキングが発生したコーナーもほとんど目立たないレベル。むしろ、このパイプはどうにかできなかったのか…(汗)。
コーキング材も耐用年数が高いものを採用し、メンテナンス性の向上も。打ち直しが発生したとしても1階のコーナー部分と窓だけなので、将来費用が抑えられることを期待したいと思います。
すべての外壁デザインでこの方法がうまくいくとは限りませんが、つなぎ目で後悔しない家作りのヒントになれば嬉しく思います。
(イ エ マ ガ 通 信 ♪ 第 794号 より転載)